- 「うちの子、同じ年齢の子と比べると運動が苦手かも……」
公園で遊んでいるとき、走るのが遅かったり、ジャンプがうまくできなかったりすると、そんな心配が頭をよぎることがあります。
特に幼児期は、できることが少しずつ増えていく時期だからこそ、「周りの子はできているのに、うちの子はまだできない」と気になってしまうものです。
でも、運動が苦手に見えることと、運動発達が遅れていることは同じではありません。
幼児期は、同じ年齢でも体格や経験、性格によって動き方に大きな違いがあります。文部科学省も、幼児の発達には個人差があるため、一人ひとりの発達の様子を見ながら運動経験を積んでいくことが大切だとしています。
misakoでは、どのようなところを見ればよいのでしょうか。
この記事では、子どもの運動発達が気になっている保護者の方に向けて、年齢ごとの運動の目安、気になるサイン、家庭でできる遊び、そして運動教室や体操教室を選ぶときのポイントまで、できるだけわかりやすく紹介します。
「少し気になるけれど、まだ何をしたらいいかわからない」という方も、ぜひお子さんの様子を思い浮かべながら読んでみてください。
子どもの「運動発達が遅れている」とはどういうこと?
まず知っておきたいのは、幼児の運動発達にはかなり個人差があるということです。
3歳だから必ずこれができる、5歳だからこれができなければいけない、というように、年齢だけで一人ひとりの成長を判断することはできません。
文部科学省の「幼児期運動指針」でも、幼児期は基本的な動きを少しずつ身につけていく時期であり、その進み方には個人差があるとされています。
「できない」だけで発達の遅れとは限らない
たとえば、5歳の子どもが「片足でうまく立てない」「ボールを遠くに投げられない」というだけで、運動発達が遅れていると判断することはできません。
その子が、
- 外で遊ぶことが少ない
- ボール遊びをする機会がなかった
- 高いところが怖い
- 慎重な性格で新しい動きを試したがらない
という場合もあります。
反対に、最初は苦手だった動きでも、遊びの中で何度も経験するうちに、ある時突然できるようになることもあります。
そのため、「できる・できない」だけを見るのではなく、少しずつできることが増えているか、体を動かすことを嫌がっていないかなども一緒に見てあげることが大切です。
幼児期は「いろいろな動き」を経験することが大切
幼児期に身につけたいのは、特定のスポーツの技術だけではありません。
走る、跳ぶ、登る、転がる、ぶら下がる、投げる、捕る、蹴るなど、さまざまな動きを経験することが、その後の運動の土台になります。
文部科学省も、幼児期には特定の運動だけを繰り返すより、遊びを通して多様な動きを経験することが大切だとしています。
年齢ごとに見る子どもの運動発達の目安
ここでは、3〜6歳ごろの子どもに見られる運動の特徴を紹介します。
ただし、これはあくまで「目安」です。



同じ年齢でも、得意な動きと苦手な動きが違うのは珍しいことではありません。
3〜4歳ごろ|走る・跳ぶなど基本的な動きが増えてくる
3〜4歳ごろになると、歩くだけでなく、走ったり、ジャンプしたり、階段を上ったり、遊具に挑戦したりと、体を大きく使った動きが増えてきます。
まだ動きがぎこちなかったり、転んだりすることもあります。
- 「走っているけれど、腕をあまり振らない」
- 「ジャンプするときに両足がうまくそろわない」
- 「遊具を怖がる」
といった姿があっても、それだけで心配しすぎる必要はありません。
この時期は、まず体を動かすことそのものを楽しむ経験が大切です。
文部科学省でも、3〜4歳ごろは遊びの中で走る、跳ぶ、登る、転がる、ぶら下がるなど、さまざまな動きを経験することが大切だとしています。
4〜5歳ごろ|動きの組み合わせが増えてくる
4〜5歳ごろになると、それまでに経験した動きが少しずつ安定してきます。
たとえば、
- 走りながら方向を変える
- ジャンプして着地する
- ボールを投げる
- ボールを蹴る
- 遊具を使って体を動かす
- 友達と一緒に鬼ごっこをする
など、複数の動きを組み合わせた遊びが増えてきます。
また、友達と一緒に遊ぶ機会が増えることで、「追いかける」「逃げる」「順番を待つ」といった動きや行動も経験するようになります。
「運動ができるようになる」というだけではなく、遊びながらいろいろな体の使い方を覚えていく時期と考えるとわかりやすいでしょう。
5〜6歳ごろ|動きを自分で調整できるようになってくる
5〜6歳ごろになると、走る、跳ぶ、投げる、捕るなどの基本的な動きに加えて、周囲を見ながら動くことも少しずつ上手になっていきます。
たとえば、
- 「友達を避けながら走る」
- 「ボールが飛んでくる方向を見て動く」
- 「ジャンプしたあとにバランスを取る」
といった動きです。
ただ、ここでも個人差はあります。
同じ5歳でも、ボール遊びが得意な子もいれば、走ることが得意な子、バランスを取ることが得意な子もいます。



「全部できるようになっていなければいけない」と考える必要はありません。
「うちの子、運動発達が遅れているかも」と感じるポイント
では、実際にどのような姿があると、保護者として気になりやすいのでしょうか。
走る・歩くときに転ぶことが多い
幼児は転ぶこと自体は珍しくありません。
ただ、
- 「少し走るだけでも頻繁に転ぶ」
- 「段差を極端に怖がる」
- 「歩き方や走り方がいつもとても不安定に見える」
など、日常生活の中で気になる様子が続く場合には、一度専門家に相談してみてもよいでしょう。
大切なのは、1回や2回の出来事ではなく、普段の生活の中でどのような状態が続いているかを見ることです。
ジャンプや片足立ちが苦手
ジャンプは、足で地面を蹴るだけでなく、体のバランスを取りながら着地する必要があります。
そのため、最初からきれいにできるわけではありません。
両足でジャンプすることから始まり、少しずつ高く跳べるようになったり、前に跳べるようになったりします。
「まだ上手にできない」というだけなら、遊びの中で経験を増やしていく方法があります。
ボールを投げる・捕るのが苦手
ボール遊びも、経験によって差が出やすい動きのひとつです。
家や公園でボール遊びをする機会が少なければ、当然ながら慣れていないこともあります。
最初から「投げる→捕る」を目標にするのではなく、
- 「転がしたボールを追いかける」
- 「近い距離からボールを渡す」
- 「大きなボールを両手で受ける」
など、簡単な遊びから始めると取り組みやすくなります。
遊具を怖がる・体を動かしたがらない
滑り台、鉄棒、平均台などを怖がる子もいます。
ここで無理に「やってみよう」と促し続けると、運動そのものを嫌いになってしまうことがあります。
まずは、
- 「見るだけ」
- 「先生と一緒ならやってみる」
- 「低いところから試す」
など、その子が安心できるところから始めてみましょう。
運動が得意になることよりも、「体を動かすのは楽しい」と感じられることのほうが、幼児期には大切です。
運動が苦手に見える子に、まず確認したいこと
「発達が遅れているのでは?」と考える前に、普段の生活を少し振り返ってみましょう。
体を動かす機会は十分にある?
幼児の運動能力は、生まれつきだけで決まるものではありません。
公園で遊ぶ、鬼ごっこをする、階段を上る、自転車に乗る、ボールで遊ぶなど、日常のさまざまな経験が体の使い方につながっていきます。
文部科学省は、幼児期には家庭や地域での活動も含めて、毎日合計60分以上、楽しく体を動かすことが望ましいとしています。
もちろん、毎日きっちり時間を測る必要はありません。
- 「今日は公園でたくさん走った」
- 「家でマットの上を転がって遊んだ」
- 「買い物の帰りに歩いた」
といった日常の動きも、子どもにとっては大切な運動経験です。
苦手なのではなく「経験したことがない」だけかもしれない
子どもの運動を見ていると、「この子は運動が苦手なんだ」と感じることがあります。
でも、実際には単純に経験が少ないだけということもあります。
たとえば、ボール遊びをほとんどしたことがない子が、ボール投げを苦手にしていても不思議ではありません。
だからこそ、できないことを探すより、
「まだ経験していない動きはないかな?」
と考えてみることも大切です。
家庭でできる「運動発達を促す遊び」
運動発達のために、特別なトレーニングを用意する必要はありません。
むしろ幼児期は、遊びの中で自然に体を動かすことが大切です。
① 布団やマットで「転がる」
床にマットや布団を敷いて、ゴロゴロ転がってみましょう。
前転のような難しい動きでなくても、
- 「お父さんのところまで転がってみよう」
- 「お母さんと一緒にゴロゴロしよう」
だけで十分です。
② クッションを使って「またぐ・登る」
安全なクッションなどを使って、
- 「またいでみよう」
- 「こっちまで登ってみよう」
と遊んでみるのもおすすめです。
高さを変えれば、年齢や子どもの様子に合わせて難易度を調整できます。
③ ボールを「投げる」より、まず「転がす」
ボール遊びが苦手な子には、いきなりキャッチボールをする必要はありません。
まずは親子で向かい合ってボールを転がしてみましょう。
慣れてきたら、
- 「少し遠くに転がす」
- 「止めてみる」
- 「足で蹴ってみる」
と遊びを変えていきます。
④ 公園では「自由に遊ぶ時間」を作る
公園に行ったら、親が全部遊び方を決める必要はありません。
子どもが、
- 「今日は滑り台をやりたい」
- 「こっちに登ってみたい」
と思ったことを自由に試す時間も大切です。
幼児期の運動では、子ども自身が「やってみたい」と思って体を動かすことが重要だとされています。
運動発達が気になる子に体操教室はおすすめ?
- 「家で遊ぶだけではなかなか難しい」
- 「もっと体を動かす機会を増やしてあげたい」
という場合、体操教室や運動教室を選択肢に入れるのもひとつの方法です。
ただし、教室ならどこでもよいというわけではありません。
「できるようにする」だけを目的にしていないか
幼児期の体操教室を選ぶときは、
- 「逆上がりができるようになる」
- 「跳び箱が跳べるようになる」
といった技術面だけでなく、
子どもが楽しみながら、いろいろな動きを経験できるかを見てみましょう。
文部科学省も、幼児期の運動では、子どもが自発的に楽しく体を動かしながら、多様な動きを経験することを重視しています。
一人ひとりの「できる・できない」を見てくれるか
同じ年齢でも、運動の得意・不得意は違います。
そのため、
- 「全員で同じことをする」
だけではなく、
- 「この子はここまでできるから、次はこれ」
と一人ひとりに合わせて声をかけてくれる教室は、運動に苦手意識がある子にも向いています。
「失敗しても大丈夫」と思える雰囲気か
運動が苦手な子にとって、周りの子がどんどんできるようになる環境は、プレッシャーになることがあります。
だからこそ、
- 「失敗しても大丈夫」
- 「もう一回やってみよう」
と思える雰囲気が大切です。
先生が子どもの小さな変化を見つけて褒めてくれるかどうかも、教室選びの大切なポイントです。
「運動発達の遅れ」が心配なときは、体操教室だけで解決しようとしない
ここは、保護者の方にぜひ知っておいてほしいところです。
運動教室は、体を動かす経験を増やしたり、運動への苦手意識を減らしたりするきっかけにはなります。
ただし、「発達に遅れがあるのではないか」という医学的な判断をする場所ではありません。
もし、
- 日常生活の中でも動きが極端に難しい
- 転倒が非常に多い
- 以前できていた動きができなくなった
- 体の動かし方について強い心配がある
- 運動だけでなく、言葉や生活面などにも気になることがある
など、保護者として強い不安が続いている場合は、かかりつけの小児科や自治体の発達相談などに相談してみると安心です。
「相談したら大げさかな」と考える必要はありません。



心配なことを専門家に聞いてみるだけでも、今の子どもの状態を知るきっかけになります。
子どもの運動発達は「周りと比べる」より「昨日のわが子を見る」
子どもの成長を見ていると、どうしても周りの子が気になります。
- 「○○ちゃんはもう跳べる」
- 「同じクラスの子は鉄棒ができる」
そんな姿を見ると、「うちの子は遅れているのかな」と不安になることもあるでしょう。
でも、幼児期の成長は一直線ではありません。
昨日までできなかったことが、遊びの中で突然できるようになることもあります。
大切なのは、
- 「同じ年齢の子よりできるか」
だけではなく、
- 「前より少し動きやすくなったか」
- 「新しいことに挑戦するようになったか」
- 「体を動かすことを楽しめるようになったか」
を見ることです。
小さな変化を見つけてあげることが、子どもの「やってみたい」という気持ちにもつながっていきます。
子どもの運動発達が気になるなら、まずは「楽しく動く経験」から
子どもの運動発達について心配になると、「何か特別なことをしてあげなければ」と考えてしまうかもしれません。
でも、最初にできることは意外とシンプルです。
- 公園で走る。
- 親子でボールを転がす。
- 布団の上でゴロゴロする。
- 階段を一緒に上る。
- 遊具に挑戦してみる。
こうした日々の小さな経験が、子どもの体の使い方につながっていきます。
文部科学省も、幼児期は特定の運動だけを頑張るのではなく、遊びを中心にさまざまな動きを経験することを大切にしています。
もし家庭だけでは運動する時間を作りにくかったり、子どもがもっと体を動かしたがっていたりするなら、体操教室や運動教室を利用するのもよいでしょう。
その際には、「運動ができる子にする」という視点だけではなく、
「この子が体を動かすことを好きになれるか」を基準にしてみてください。
運動が得意になることはもちろん大切ですが、幼児期にはそれ以上に、体を動かす楽しさを知ることが、その後の運動習慣につながる大切な土台になります。
まとめ|運動発達のスピードは一人ひとり違う。まずは楽しく体を動かそう
「子ども 運動 発達 遅れ」と検索しているということは、それだけお子さんのことをよく見ているということでもあります。
- 走るのが遅い。
- ジャンプが苦手。
- ボールを投げられない。
- 転ぶことが多い。
- 遊具を怖がる。
こうした姿があると心配になりますが、それだけで運動発達が遅れていると決めつける必要はありません。
幼児期は一人ひとりの成長に差があり、これまでどんな遊びや運動を経験してきたかによっても、できることは変わります。
まずは、日常生活の中で体を動かす機会を増やしてみましょう。
そして、
- 「できた・できない」
だけではなく、
- 「昨日より少しできるようになった」
- 「前より楽しそうに動いている」
- 「自分から挑戦するようになった」
という変化にも目を向けてみてください。
もし家庭だけでは運動の機会を作ることが難しい場合や、子どもが体を動かすことを楽しんでいる場合は、体操教室などを利用するのもひとつの選択肢です。
教室を選ぶときには、技術を早く身につけることだけでなく、子どもの発達や個性に合わせて、楽しみながらいろいろな動きを経験できる環境かどうかを確認してみましょう。
そして、運動発達について強い心配が続く場合は、無理に習い事だけで解決しようとせず、小児科や自治体の相談窓口などに相談してください。
子どもの成長は、周りの子と競争するものではありません。
その子なりの「できた」を少しずつ増やしていくこと。
それが、これから体を動かすことを好きになるための第一歩です。


