「パパもママも運動が苦手だから、この子も運動が苦手なのかな?」
子育てをしていると、そんなことを考えることがあるかもしれません。
周りのお友達が上手に走っていたり、鉄棒や跳び箱に挑戦していたりすると、
- 「うちの子は少し遅れているのかな」
- 「運動神経が悪いのかな」
と、心配になることもありますよね。
特に、「運動神経は遺伝する」という話を聞くと、親としては余計に気になってしまうものです。
では、本当に子どもの運動神経は遺伝で決まるのでしょうか?
結論からいうと、運動能力には生まれ持った体質や遺伝的な要素がありますが、それだけですべてが決まるわけではありません。
子どもの運動能力は、身体の特徴だけでなく、これまでどんな遊びをしてきたか、どのくらい身体を動かしてきたか、どんな環境で過ごしているかなど、さまざまなことが関係しています。
そして、幼児期は「運動が得意になるための特別なトレーニング」をするというより、いろいろな身体の動かし方を経験しておくことが大切な時期です。
この記事では、
- 運動神経は本当に遺伝するのか
- 運動が得意な子と苦手な子にはどんな違いがあるのか
- 幼児期の運動経験がなぜ大切なのか
- 運動が苦手な子にはどんな関わり方がよいのか
- 体操教室などの習い事を選ぶときに何を見ればよいのか
について、できるだけ難しい言葉を使わずにお話しします。
misako「うちの子、運動が苦手かも」と感じている方も、ぜひ最後まで読んでみてください。
運動神経は遺伝する?まず知っておきたいこと
「運動神経」という言葉は日常的によく使われますが、実際には一つの能力だけを指しているわけではありません。
走る、跳ぶ、投げる、バランスを取る、身体を思ったように動かす。
こうしたさまざまな力が組み合わさって、「運動が得意」「身体を上手に動かせる」という状態につながっています。
運動能力には遺伝の影響もある
まず、運動能力に遺伝が関係すること自体は事実です。
身長や身体つきに個人差があるように、筋力や身体の大きさ、持久力などには生まれ持った違いがあります。
同じ練習をしていても、力がつきやすい子とそうでない子がいたり、走ることが得意な子、細かな身体の動きが得意な子がいたりします。
こうした違いには、遺伝的な要素も関係しています。
ただし、ここで大切なのは、
「遺伝の影響がある」ことと「運動能力が遺伝だけで決まる」ことは別だということです。
子どもの運動能力は、遺伝だけで説明できるほど単純なものではありません。
「運動神経が悪い家系だから」と決めつけなくて大丈夫
「自分が運動が苦手だから、子どももきっと苦手」
そう考えてしまうこともあるかもしれません。
でも、親子だからといって、同じ運動能力になるわけではありません。
同じ家庭で育っていても、兄弟で運動の得意・不得意が違うことは珍しくありません。
走るのが得意なお兄ちゃんもいれば、ボール遊びが好きな妹もいる。
逆に、運動はゆっくりでも、工作や音楽が大好きな子もいます。
子どもには、それぞれの成長のペースがあります。
「親が運動が苦手だから」という理由だけで、子どもの可能性まで決めてしまう必要はありません。
運動神経は「生まれつき」だけで決まらない
では、遺伝以外には何が関係しているのでしょうか。
幼児期の子どもの運動能力を考えるときに、とても大切なのが運動経験です。
子どもは遊びながら身体の使い方を覚えていく
小さな子どもは、最初から身体を上手に動かせるわけではありません。
走り始めたばかりの頃は、転びそうになりながら走ります。
ジャンプも、最初は両足でしっかり跳べないかもしれません。
ボールを投げても、思った方向にはなかなか飛びません。
でも、何度も遊んでいるうちに少しずつ上手になっていきます。
- 「こうすると前に進める」
- 「こうやって腕を動かすと遠くに飛ぶ」
- 「ここに足を置けば転ばない」
そんなことを、子どもは遊びの中で自然に覚えていきます。
つまり、運動能力は「知識として教えてもらう」だけではなく、実際に身体を動かした経験の積み重ねによって身についていくものでもあります。
「できる・できない」より「やってみた」が大切
幼児期には、上手にできるかどうかだけを見る必要はありません。
たとえば、
- 片足で立ってみる
- ケンケンをしてみる
- 低いところからジャンプする
- ボールを投げる
- 追いかけっこをする
- マットの上を転がる
- ぶら下がってみる
- 音楽に合わせて身体を動かす
こうした経験そのものに意味があります。
「できた」という結果だけではなく、
「やってみた」「身体を動かしてみた」
という経験が少しずつ増えていくことが、これからの運動につながっていきます。
「うちの子は運動神経が悪い」と感じるのはなぜ?
幼児期の子どもを見ていると、「この子は運動が苦手なのかな」と感じる場面があります。
でも、その判断は少し待ってみてもよいかもしれません。
同じ年齢でも成長の早さは違う
幼児期は、身体の成長にも運動の発達にもかなり個人差があります。
同じ5歳でも、
- 「走るのが速い子」
- 「ジャンプが得意な子」
- 「バランスを取るのが上手な子」
- 「ボール遊びが好きな子」
など、得意なことはさまざまです。
今できないからといって、ずっとできないとは限りません。
特に幼児期は、昨日までできなかったことが、ある日突然できるようになることもあります。
「運動が苦手」ではなく「経験が少ない」だけかもしれない
ここは、保護者の方にぜひ知っておいてほしいところです。
たとえば、ボールを投げるのが苦手な子がいたとします。
その子が「運動神経が悪い」とは限りません。
もしかすると、これまでボールで遊ぶ機会が少なかっただけかもしれません。
鉄棒が苦手なのも、腕の力や身体の使い方に慣れていないだけかもしれません。
自転車に乗れないのも、練習する機会がまだ少なかっただけかもしれません。
もちろん、生まれ持った身体的な特徴も関係します。
ただ、幼児期の「できない」をすぐに「才能がない」と結びつけないことが大切です。
幼児期にいろいろな運動を経験することが大切な理由
幼児期の運動では、一つの種目を上手にすることだけが目的ではありません。



いろいろな身体の動きを経験しておくことが、その後の運動につながります。
「走る・跳ぶ・投げる」だけでも身体の使い方は違う
たとえば「走る」と「投げる」では、使う身体の動きが大きく違います。
走るときには、
- 足を交互に動かす
- 腕を振る
- 身体のバランスを取る
- 前を見る
といった動きが必要です。
一方、ボールを投げるときには、
- 腕を振る
- 身体をひねる
- 足で踏ん張る
- 相手との距離を見る
など、また違った動きが必要になります。
こうした経験をたくさんしておくと、「身体を動かす」ということそのものに慣れていきます。
「いろいろな動き」が将来の運動につながる
幼児期におすすめなのは、特定のスポーツだけを繰り返すことではありません。
- 走る
- 跳ぶ
- 転がる
- くぐる
- 登る
- 投げる
- 捕る
- ぶら下がる
- バランスを取る
こうした基本的な動きを、遊びながら経験しておくことです。
いろいろな動きを経験していると、将来サッカーや野球、バスケットボール、ダンス、水泳など、別のスポーツを始めたときにも身体を動かす土台として役立ちます。
運動が苦手な子ほど「楽しい」が大切
運動が得意になることを考えると、つい「たくさん練習させたほうがいい」と思ってしまいます。
でも、幼児期では少し違います。
「できない」を繰り返し指摘しない
- 「もっと足を上げて!」
- 「ちゃんとやって!」
- 「なんでできないの?」
と何度も言われると、子どもは運動そのものが嫌になってしまうことがあります。
大人からすると、上達してほしいからこその言葉です。
でも、子どもにとっては、
- 「運動すると怒られる」
- 「失敗すると恥ずかしい」
という経験になってしまうことがあります。
幼児期は、上手にできることよりも、
「身体を動かすのって楽しい」と思えることを大切にしたい時期です。
「できた!」が次の挑戦につながる
子どもが小さなことでもできたとき、
- 「今の上手だったね」
- 「前よりできるようになったね」
- 「もう一回やってみる?」
と声をかけてあげる。
それだけでも、子どもの気持ちは変わります。
- 最初は怖がっていた跳び箱に手をつけた。
- 鉄棒に10秒ぶら下がれた。
- ボールを前に投げられた。
昨日できなかったことが、今日は少しだけできた。
こうした小さな成功体験が、「もう一回やってみよう」という気持ちを育てます。
運動神経を伸ばすために家庭でできること
- 「特別な道具を買わないといけないの?」
- 「毎日トレーニングをさせるべき?」
そんな心配はいりません。



日常の遊びの中にも、運動につながる経験はたくさんあります。
公園で遊ぶ
公園は、幼児期の運動経験を増やす場所としてとても身近です。
- 走る
- 登る
- ぶら下がる
- ジャンプする
- 追いかける
これだけでも、さまざまな身体の使い方を経験できます。
遊具の使い方を細かく教えなくても、子ども自身が「どうしたら登れるかな」と考えながら動くことにも意味があります。
家の中でも身体は動かせる
雨の日や暑い日でも、家の中でできることはあります。
- 布団の上を転がる。
- クッションをまたぐ。
- 音楽に合わせて踊る。
- 親子でじゃんけんをして動く。
- タオルを使って引っ張りっこをする。
こうした遊びでも十分です。
「運動の時間を作らなければ」と考えすぎなくても大丈夫です。
子どもが身体を動かすきっかけを、日常の中に少し増やしてあげるだけでもよいでしょう。
体操教室に通うと何が違う?
家庭で遊ぶだけでも運動経験は増やせます。
では、体操教室などの習い事に通う意味はどこにあるのでしょうか。
家では経験しにくい動きを安全に体験できる
体操教室では、マット、跳び箱、鉄棒、平均台など、家庭では用意しにくい道具を使って身体を動かします。
もちろん、道具そのものが重要なのではありません。
「登る」「跳ぶ」「支える」「回る」「バランスを取る」といった動きを、遊びながら経験できることが大きなポイントです。
「できないこと」に挑戦するきっかけになる
家では、子どもが苦手なことを避けてしまうこともあります。
- ボールが苦手ならボールで遊ばない。
- 鉄棒が怖ければ近づかない。
- 転ぶのが嫌なら走らない。
それも自然なことです。
教室では、先生が子どもの様子を見ながら、
- 「今日はここまでやってみよう」
- 「次は少しだけ難しくしてみよう」
と、無理のない範囲で挑戦するきっかけを作れます。
周りの子を見ながら学べる
幼児期の子どもは、大人から教えてもらうだけでなく、周りの子を見ながらも学びます。
- お友達がジャンプしている。
- 鉄棒に挑戦している。
- 楽しそうに走っている。
そんな姿を見て、「自分もやってみたい」と思うことがあります。
教室という環境そのものが、運動を始めるきっかけになることもあります。
子どもの運動能力には、家庭や周囲の人との関わりなどの環境も関係することが研究で示されています。
運動神経を伸ばすための習い事はどう選べばいい?
「体操教室に通わせてみようかな」と思ったら、料金や場所だけでなく、教室の中身も見てみましょう。
「技を覚える」だけになっていないか
幼児期の体操教室では、
- 「逆上がりができるようになる」
- 「跳び箱が跳べるようになる」
といった目標ももちろん大切です。
ただ、それだけではありません。
走る、跳ぶ、転がる、支える、バランスを取るなど、さまざまな動きを経験できる教室のほうが、幼児期には向いている場合があります。
一つの技だけを何度も繰り返すのではなく、子どもがいろいろな動きを楽しめるかを見てみましょう。
子どもの「できた」を見てくれる先生か
幼児期は、一人ひとりの成長の差が大きい時期です。
同じ年齢でも、得意なことも苦手なことも違います。
だからこそ、「できる子に合わせる」のではなく、
「その子の今の状態に合わせて声をかけてくれるか」
は、とても大切です。
体験教室に参加するときには、先生が子どもにどんな言葉をかけているかを見てみるとよいでしょう。
子どもが「また行きたい」と思えるか
最終的には、ここが一番大切かもしれません。
どれだけ評判のよい教室でも、子どもが毎回嫌がってしまえば続きません。
反対に、
- 「今日は何するの?」
- 「また行きたい!」
と子どもが楽しみにしているなら、それだけでも大きな価値があります。
幼児期の運動は、短期間で結果を出すことよりも、身体を動かすことを好きになることが、その後につながっていきます。
「運動神経が遺伝するから」と習い事を諦めなくていい
- 「自分が運動が苦手だから……」
- 「夫婦ともに体育が苦手だったから……」
そんな理由で、子どもの運動について心配しすぎる必要はありません。
遺伝的な要素があることは事実です。
一方で、子どもの運動能力は遺伝だけで決まるものではなく、成長の過程での経験や環境も関わっています。
だからこそ、幼児期にできることがあります。
たくさん走らせる必要もありません。
厳しいトレーニングをする必要もありません。
まずは、
- 「身体を動かすのは楽しい」
- 「やってみたらできた」
- 「もう一回やってみたい」
そんな経験を増やしてあげることです。
それが、将来の運動につながる土台になります。
運動神経を伸ばすために大切なのは「才能」より「経験」
運動が得意な子を見ると、「もともと運動神経がいいんだろうな」と思うことがあります。
もちろん、生まれ持った身体的な特徴はあります。
でも、幼児期の子どもにとっては、まだまだこれから経験していくことのほうがたくさんあります。
今、走るのが遅くても。
ボールをうまく投げられなくても。
鉄棒が怖くても。
ジャンプが苦手でも。
それだけで、その子の将来が決まるわけではありません。



大切なのは、その子のペースで身体を動かす経験を重ねていくことです。
そして、その経験を「できる・できない」だけで評価しないこと。
- 「やってみたね」
- 「昨日より少しできたね」
- 「楽しそうだったね」
そんなふうに見てあげることで、子どもは安心して次の挑戦に進めます。
まとめ|運動神経は遺伝だけでは決まらない。幼児期は「楽しく動く経験」を
「運動神経は遺伝するの?」
という疑問に対しては、運動能力には遺伝の影響がありますが、遺伝だけで決まるわけではありませんというのが答えです。
幼児期の子どもは、遊びや日常生活、運動教室などを通して、少しずつ身体の使い方を覚えていきます。
だからこそ、
- いろいろな身体の動きを経験する
- できる・できないだけで判断しない
- 小さな「できた」を大切にする
- 身体を動かすことを楽しむ
- 子どもの成長ペースに合わせる
ということを意識してみてください。
もし「うちの子にも運動経験を増やしてあげたい」と感じているなら、体操教室などの習い事を利用するのも一つの方法です。
教室を選ぶときは、技術を早く身につけられるかだけではなく、子どもが楽しみながらいろいろな動きを経験できるか、先生が一人ひとりの成長を見てくれるかにも目を向けてみてください。
幼児期の運動で大切なのは、「運動神経のいい子にする」ことではありません。
これから先、身体を動かすことを楽しめる子になるための土台を作ってあげること。
その最初の一歩は、案外、特別な練習ではなく、親子で笑いながら走ったり、跳んだり、遊んだりすることなのかもしれません。






-300x200.jpeg)
