- 「うちの子、姿勢が悪い気がする」
食事中に背中が丸くなっていたり、テレビを見るとすぐ寝転がったり、椅子に座っていると体が斜めになっていたり。
「ちゃんと座って」と何度言っても、気がつくとまた姿勢が崩れている。
そんな様子を見ると、「体幹が弱いのかな?」「運動不足なのかな?」と心配になることもありますよね。
幼児は、まだ体が成長している途中です。大人のように長い時間、同じ姿勢をきれいに保てるとは限りません。
一方で、普段から体を動かす機会が少なかったり、姿勢を支える力が十分に育っていなかったりすると、座る・立つといった基本的な姿勢を保つことが苦手に見える場合もあります。
この記事では、
- 子どもの姿勢が悪く見えるのはなぜ?
- 幼児によく見られる姿勢の特徴
- 姿勢と体幹にはどんな関係がある?
- 家庭でできることは?
- 体操教室などの運動系の習い事は役に立つ?
といった疑問について、幼児期の子どもを育てる保護者の方に向けて、できるだけ分かりやすく説明します。
「姿勢をよくしなさい」と注意するだけではなく、姿勢を保ちやすい体を遊びながら育てていくという視点で、お子さんの様子を見てみましょう。
子どもの姿勢が悪いと感じるのはどんなとき?
まずは、日常生活の中でどんな様子が見られるのかを確認してみましょう。
座っていると背中が丸くなる
食事やお絵描き、絵本を読んでいるときなどに、だんだん背中が丸くなってしまうことがあります。
最初はきれいに座っていても、しばらくすると机に肘をついたり、椅子にもたれたりすることもあります。
幼児はまだ同じ姿勢を長く保つことに慣れていません。
そのため、少し姿勢が崩れるだけで「姿勢が悪い」と判断する必要はありません。
ただ、座っていること自体がつらそうだったり、すぐに寝転がりたがったりする場合には、普段の体の使い方を少し見てあげてもよいでしょう。
テレビや遊びの時間にすぐ寝転がる
テレビを見ているときだけでなく、床で遊んでいるときにもすぐにゴロンと横になる。
そんな姿を見て、「うちの子はだらしないのかな」と感じる方もいるかもしれません。
でも、幼児の場合は単純に「楽な姿勢を選んでいる」ということもあります。
体を起こして座り続けるよりも、寝転がったほうが楽であれば、自然とそちらを選びます。
ここで大切なのは、寝転がることだけを問題にするのではなく、普段どれくらい体を動かしているかにも目を向けることです。
立っているときに体が傾いている
立っているときに片方へ体重をかけたり、片足に寄りかかるように立ったりすることもあります。
幼児はまだ自分の体を思ったようにコントロールする力が育っている途中です。
遊びや運動の経験を重ねながら、少しずつ「どうすれば体が安定するのか」を覚えていきます。
子どもの姿勢が悪くなるのはなぜ?
「姿勢をよくしなさい」と言われると、大人は背筋を伸ばすことをイメージします。
でも、幼児の姿勢を見るときには、単に背中が丸いかどうかだけを見るのでは十分ではありません。
姿勢を保つための体の力が育っている途中だから
座る、立つ、歩く、走る。
私たちは当たり前のように行っていますが、どれも体全体をうまく使ってバランスを取る必要があります。
特に体の中心部分は、姿勢を保ちながら手足を動かすための土台になります。
姿勢が崩れやすい子どもの中には、この土台となる部分をうまく使うことにまだ慣れていない場合があります。
ただし、「姿勢が悪い=体幹が弱い」とすぐに決めつけることはできません。
姿勢には、体の使い方だけでなく、疲れ、遊び方、生活環境など、さまざまなことが関係します。
体を動かす経験が少なくなっている
幼児期は、走る、跳ぶ、転がる、登る、ぶら下がる、バランスを取るなど、いろいろな動きを経験する時期です。
文部科学省の「幼児期運動指針」でも、幼児期にはさまざまな遊びを通して、立つ・座る・転がる・渡る・ぶら下がるといった基本的な動きを経験することが大切だとされています。
ところが、室内で過ごす時間が増えると、こうした動きを経験する機会が少なくなることがあります。
もちろん、毎日公園に行かなければいけないという話ではありません。
家の中で親子で遊んだり、散歩の途中で少し走ったりするだけでも、体を使う経験になります。
「姿勢を正す」ことばかり意識している
意外に感じるかもしれませんが、姿勢をよくするために「背筋を伸ばして」と言い続けるだけでは、うまくいかないことがあります。
姿勢を保つための体の使い方がまだ十分に身についていなければ、頑張って背筋を伸ばしても疲れてしまうからです。
大切なのは、姿勢そのものを無理に直すことだけではありません。
遊びながら体を動かし、バランスを取ったり、支えたり、姿勢を変えたりする経験を増やすことも大切です。
幼児の「姿勢が悪い」は何歳くらいから気になる?
幼児期は、年齢によってできることが大きく変わります。
3歳ごろは姿勢が崩れても珍しくない
3歳くらいになると、走ったりジャンプしたり、簡単な遊具で遊んだりすることが増えてきます。
一方で、まだ長時間座っていることは得意ではありません。
食事中に姿勢が崩れたり、遊んでいる途中で寝転がったりすることもあります。
この時期は、「正しい姿勢を覚えさせる」というより、まずは楽しく体を動かす経験を増やしていくことを考えてみましょう。
4〜5歳になると体の使い方にも変化が出てくる
4〜5歳になると、走る・跳ぶ・投げる・登るなど、できる動きが少しずつ増えていきます。
体の使い方も、経験を重ねることで徐々に滑らかになっていきます。
文部科学省も、幼児期の初めには動きに力みやぎこちなさが見られるものの、適切な運動経験を積むことで、少しずつ動きが滑らかになっていくとしています。
そのため、同じ年齢でも姿勢や運動の得意・不得意にはかなり個人差があります。
年齢だけで「姿勢が悪い」と判断しない
「5歳なのにまだ姿勢が悪い」と、年齢だけで判断する必要はありません。
子どもの発達には個人差があります。
大切なのは、同じ年齢の子と比べることよりも、
- 「以前よりできることが増えているか」
- 「体を動かすことを嫌がっていないか」
- 「日常生活で困っていることがないか」
といったところを見ることです。
子どもの姿勢と体幹にはどんな関係がある?
「子どもの姿勢が悪い」と検索すると、「体幹」という言葉を目にすることが多いと思います。
misakoでは、姿勢と体幹にはどのような関係があるのでしょうか。
体幹は体を支える土台
ここでいう体幹は、簡単に言えば頭や手足を除いた体の中心部分です。
座る、立つ、走る、跳ぶといった動作では、体の中心が安定していることが大切になります。
姿勢が崩れやすい子どもに対して、体幹を育てることが一つの方法として紹介されるのは、このためです。
島田療育センターでも、姿勢が崩れやすい子どもについて、体幹を含めた体の使い方を育てることや、遊びの中で体を動かすことを紹介しています。
幼児に大人のような筋トレは必要ない
ここは大切なポイントです。
「体幹を鍛える」と聞くと、腹筋やプランクなどを思い浮かべる方もいるかもしれません。
もちろんそうした運動が使われることもありますが、幼児にとっては、まず遊びの中で自然に体を使うことが大切です。
たとえば、
- 片足でバランスを取る
- ケンケンする
- クマ歩きをする
- マットの上を転がる
- 鉄棒にぶら下がる
- 平均台のような場所を渡る
- 親子でお相撲ごっこをする
などです。
「トレーニングをさせる」というより、「遊んでいたら体が育っていた」というくらいの感覚でもよいでしょう。
子どもの姿勢をよくするために家庭でできること
姿勢が気になったからといって、特別な道具を用意する必要はありません。



毎日の生活の中で、少しずつ体を動かす時間を増やしてみましょう。
①外で思い切り遊ぶ
走る、追いかける、ジャンプする、登る。
こうした遊びは、姿勢だけを意識して行う運動ではありません。
それでも、さまざまな動きを繰り返す中で、自分の体を支えたり、バランスを取ったりする経験につながります。
公園に行ったときも、「ちゃんと運動させなきゃ」と考えすぎなくて大丈夫です。
子どもが興味を持った遊具で遊ぶだけでも、十分な運動経験になります。
②家の中でも「体を使った遊び」を取り入れる
雨の日や忙しい日は、外に出られないこともあります。
そんな日は、家の中で簡単な遊びを取り入れてみましょう。
たとえば、
- 「お父さんの背中を登ってみよう」
- 「クマさん歩きで競争しよう」
- 「片足で何秒立てるかな?」
- 「布団の上をゴロゴロ転がってみよう」
など。
短い時間でも、子どもが楽しめる形なら十分です。
③「姿勢を直す」より「動く時間を増やす」
姿勢が気になると、「背筋伸ばして」「ちゃんと座って」と言いたくなります。
もちろん食事中など、必要な場面で声をかけることは大切です。
ただ、それだけに頼るのではなく、普段から体を動かす機会を増やしてみましょう。
幼児期は、日常生活や遊びを含めて体を動かすことそのものが大切です。
文部科学省は、幼児について、遊びを中心に毎日合計60分以上、楽しく体を動かすことを一つの目安として示しています。
姿勢が悪い子に体操教室はおすすめ?
「家でも運動させたいけれど、何をすればいいのか分からない」



そんな場合には、体操教室などの運動系の習い事も選択肢になります。
体操教室ではさまざまな動きを経験できる
体操教室のよいところは、一つの運動だけを繰り返すのではなく、さまざまな動きを経験できることです。
走る、跳ぶ、転がる、支える、ぶら下がる、バランスを取る。
こうした動きを遊びに近い形で経験することで、自分の体を思い通りに動かす感覚を少しずつ身につけていきます。
文部科学省も、幼児期には特定の運動だけに偏るのではなく、さまざまな動きを経験することを重視しています。
「姿勢をよくするため」だけで教室を選ばなくてもいい
体操教室を選ぶとき、「姿勢改善」を一番の目的にする必要はありません。
むしろ、
- 「子どもが楽しく通えそうか」
- 「いろいろな動きを経験できるか」
- 「先生が子どもの様子を見ながら声をかけてくれるか」
- 「できないことを無理にさせていないか」
といった点を見てみることをおすすめします。
姿勢だけを直そうとするのではなく、体を動かすことが好きになること。
その積み重ねが、長い目で見たときの運動習慣にもつながっていきます。
「うちの子は運動が苦手だから」と心配しなくても大丈夫
体操教室というと、運動が得意な子が通う場所だと思ってしまう方もいます。
でも、幼児期の運動教室では、最初から上手にできる必要はありません。
- 「ジャンプがまだ苦手」
- 「鉄棒が怖い」
- 「片足で立てない」
- 「みんなと同じように動けない」
そんなところから始めても大丈夫です。
大切なのは、今できるかどうかだけではありません。
「やってみようかな」と思える環境があるかどうかです。
子どもの姿勢が気になるときに確認したいこと
最後に、姿勢だけを見て判断するのではなく、普段の様子も確認してみましょう。
普段から体を動かしているか
外遊びや公園遊び、鬼ごっこなど、体を使う遊びをする時間があるでしょうか。
毎日きっちり運動する必要はありません。
まずは、子どもが楽しみながら体を動かす時間があるかを振り返ってみましょう。
運動を嫌がっていないか
姿勢だけでなく、
- 「走るのを嫌がる」
- 「転ぶことが多い」
- 「遊具を怖がる」
- 「すぐ疲れたと言う」
など、ほかにも気になる様子がないか見てみましょう。
一つひとつの様子だけで何かを判断する必要はありませんが、いくつかの気になることが重なっている場合には、園の先生や専門機関などに相談してみるのも一つの方法です。
厚生労働省の資料でも、姿勢の崩れだけでなく、運動発達や体の使い方などを含めて子どもの様子を見ることの大切さが示されています。
子ども自身が困っていないか
大人から見ると「姿勢が悪い」と感じても、本人は特に困っていないこともあります。
反対に、座っているとすぐ疲れる、運動すると周りについていけないなど、本人が困っている場合もあります。
「姿勢がきれいか」だけではなく、子ども自身が生活の中で困っていないかを見ることも大切です。
まとめ|子どもの姿勢は「直す」より「体を育てる」視点で
子どもの姿勢が悪いと、つい「背筋を伸ばして」「ちゃんと座って」と注意したくなります。
でも、幼児期はまだ体の使い方を覚えている途中です。
姿勢が崩れるからといって、すぐに「体幹が弱い」「運動不足」と決めつける必要はありません。
まずは、
- 日頃から体を動かす時間があるか
- さまざまな動きを経験しているか
- 子どもが運動を楽しめているか
- 姿勢以外にも気になる様子がないか
を見てあげましょう。
そして、家庭でできる遊びを取り入れながら、必要であれば体操教室などでさまざまな運動を経験するのも一つの方法です。
姿勢を無理に「直す」のではなく、遊びながら自分の体を上手に使えるようになっていく。
幼児期には、そんな関わり方が合っているのかもしれません。
「うちの子にもできそう」「まずは楽しく体を動かしてみようかな」と感じたら、体操教室の体験に参加して、先生との相性や子どもの反応を実際に見てみるのもおすすめです。





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